『二度と目覚めぬ子守唄』の巻

『二度と目覚めぬ子守唄』

サツ「はい、第49回です」

バツ「今回は『二度と目覚めぬ子守唄』というアニメを採り上げたいと思います」
サツ「何でこれを採り上げるのよ」
バツ「最近、眠れない夜にこれを観たからですねー」
サツ「ちょっと眠れない夜に、『二度と目覚めぬ子守唄』だなんて、物騒だから止めてよ。余計に眠れなくなりそうじゃん」
バツ「そんな『二度と目覚めぬ子守唄』なわけですが、タイトルどおり(?)人によってはトラウマを植え付けられそうな暗いアニメです」

 

サツ「あらすじはどんな感じなのよ」
バツ「主人公は歯が出ていて、頭が大きく、背の低い小学生です。彼の歯は、上の前歯ではなく、下の前歯がすごく出ていることから、同級生から「出っ歯」というアダ名を付けられ、化け物と罵られ、毎日のように殴る蹴るの暴行を受けます」
サツ「残酷な小学生のいじめを描いた作品だよね。小学生ってのは、見た目の特徴からストレートにいじめに入るから容赦がないよね」
バツ「それはありますね。ま、でも大人も直接表面には出さないかもしれないけど、やってることは同じようなもんだし、より陰惨ないじめをしてる場合もありますからね」
サツ「そうかもしれないね」
バツ「主人公の父親は戦死し、祖父は戦時中にメチルアルコールを飲んで失明し、その後、脳溢血を併発して亡くなっています。また、母親が病気で入院してから、主人公は親戚に引き取られて暮らしています」
サツ「時代背景が直接的には語られていないけど、昭和30年代あたりなのかねー」
バツ「父親が戦死しているところからすると30年代と考えるのが素直なんでしょうけど、主人公が1962年生まれ(昭和37年)という設定なので、40年代みたいです。『三丁目の夕日』とかでは描かれない昭和の風景なんでしょうね。で、あらすじに戻りますが、陰惨ないじめに遭っていた主人公は、ある出来事をきっかけにいじめっ子の同級生に対して復讐を果たします」
サツ「復讐を果たす前後は現実的な描写と観念的な描写が入れ子になっていて、かなりカオスになってるよね」
バツ「そうですね。たまにニュース映像みたいなものも挿入されてたりして、すごく強引な編集がされてますね。あと、8ミリで撮られたせいかもともとの映像が古臭い質感なんですが、それと独特の絵柄*1が相まって異様な雰囲気を醸し出しています*2
サツ「この作品は、1985年というバブル期に作られたものだけど、バブルの香りはほとんどしないよね」
バツ「そうですね。80年代っぽさとしては、サントラのチープなシンセ音。音楽は監督自身が手掛けているんですが、初期衝動に従ったと言わんばかりの味わいのある音楽で*3、アニメの時代背景とのギャップが逆に物語の深刻さを浮き彫りにしているような気がしてしまいますね」
サツ「話は前後しちゅうけど、このアニメの監督は、原田浩さんという方で、『ドラえもん』を始め数々のアニメな作画や絵コンテを担当されてるね。最近だと、『這いよれ! ニャル子さん』なんかも手掛けてるみたいね」
バツ「アニメーターとしてのキャリアも積みつつ、一方で、自主制作で『二度と目覚めぬ子守唄』とか『地下幻燈劇画 少女椿*4なんかも手掛けてますね。しかも、『二度と目覚めぬ子守唄』は監督が一人でほとんどを作っているという」
サツ「驚異的だよね。今とは時代がだいぶ違うわけだし。で、この『二度と目覚めぬ子守唄』は、今も観ることができるの?」
バツ「実は、中野のブロードウェイの中にあるお馴染み「タコシェ」で自主制作のDVDが販売されています。ご興味ある方は是非是非」
サツ「90年代後半には、洋泉社の『悪趣味邦画劇場』で、この作品について触れられているのを読んで、どんなアニメなんだろうって想像するしかなかったのにねー。すごい時代になったもんだ」
バツ「たしかに、たしかに。でも、そうやって昔の思い出ばっかり語ってるから、ブログのアクセス数が伸びないんですよ」
サツ「つーか、『二度と目覚めぬ子守唄』みたいな全然キャッチ―さのない題材を選んでるのは、きみじゃんよ
バツ「悲しいけど、ホントのこと!」

*1:同じ人物を描いているのに結構絵が違うとか←ほめてます

*2:ほめてます

*3:ほめてます

*4:『地下幻燈劇画 少女椿』については、いろいろ曰くつきの作品なので、また回を改めて触れるかもしれません